オープンイノベーションの為の知財活動支援

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションは、自社内だけでなく、社外の知識やリソースを活用し、新しいアイデアや技術を取り入れて技術開発や製品開発を行う為の戦略的なアプローチです。このオープンイノベーションは、業種、当事者の組み合わせ、研究開発のフェイズ等が異なれば、全く違ったものになります。

また、オープンイノベーションには必然的にパートナーが存在します。このパートナーは自社の有効な協力者であると同時に、オープンイノベーションに関する種々の取り決めの交渉相手でもあるという課題があります。これらを適切に進めながら、自社事業の成果を得ることが必要になるため、一筋縄ではいかないことが多いのも現実です。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションには多くのメリットがあります。多くのケースで共通するものとして次のような事項が挙げられます。

自社にはない社外のリソース（技術・情報・アイデア等）を活用できる。
研究開発についてリスク分散や費用・時間を削減でき、効率的な研究開発が可能になる。
パートナーとの連携により、市場へのアクセスが容易になり、市場展開が迅速できる。

オープンイノベーションのデメリット

上記のようにオープンイノベーションは良いことばかりと言えそうです。しかし一方で、実は大きなデメリットも存在します。例えば、次のような事項が挙げられます。

自社の有用なリソース（技術・情報・アイデア等）がパートナー（又はパートナーを介して第三者）に漏洩したり、コンタミネーション（情報の混同・汚染）、ダイリューション（情報の価値の希釈化）のリスクが生じる。
オープンイノベーションの成果について、その帰属や利用についてパートナーと合意する必要があり、パートナーと対立して自社の事業化に支障が生じるケースがありうる。
自社とパートナーとの文化・価値観の違いが支障になることが多く、それを乗り越えて折り合いをつけていく必要がある。

上記のメリットを最大限に享受しながら、これらデメリットを適切に管理していくことが求められるのです。それをもって初めて、オープンイノベーションを成功に導くことができます。

オープンイノベーションを成功させるには

オープンイノベーションを成功させる為のポイントとして、次の項目が挙げられます。

ビジョンと戦略の明確化
オープンイノベーションの目標や戦略を明確にし、組織全体に共有することが重要です。どのような知財活動を行い、何を達成したいのかを明確に定義します。
適切なパートナーシップの構築
優れたパートナーを選定し、信頼性のある関係を築くことが成功の鍵です。パートナーが持つ知識やリソースが、自社のプロジェクトに適しているかどうかを検討します。
知的財産権の保護
オープンイノベーションにおいて、知的財産権の保護は極めて重要です。特許、商標、著作権などの適切な知財戦略を策定し、情報漏洩や侵害から自社を守ります。
コミュニケーションと協力
パートナーやステークホルダーとの積極的なコミュニケーションや調整が不可欠です。また、種々の取り決め事項について契約を取り交わす必要もあります。
リスク管理
オープンイノベーションにはリスクが伴います。予期せぬ問題が発生した場合に備え、リスクマネジメントを行い、適切な対応策を用意しておくことが大切です。

オープンイノベーションの知財活動

オープンイノベーションを成功させる為の知財活動には、大まかに区分すると次の項目が挙げられます。

情報の管理
自社の情報、パートナーから得た情報、オープンイノベーション活動で得られた情報など、これらを適切に管理することが求められます。
知的財産権の取得・保護・活用
オープンイノベーションの開始前に自社の知的財産権を取得・保護しておくこと、オープンイノベーションの成果として得られた知的財産権を取得・保護し、その活用を図ることが必要となります。
技術契約・知的財産契約の締結
オープンイノベーションの進め方や、上記①情報の管理、上記②知的財産権の取得・保護・活用について、パートナーと協議して取り決める必要があります。その取り決めた内容を技術契約・知的財産契約として締結する必要があります。