ホームページ制作を依頼する時、制作会社に何を渡せばいいのか

質問

ホームページ制作を依頼する時、制作会社に何を渡せばいいのか

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回答
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新規事業のホームページ制作を依頼しようとすると、次のような迷いが出やすくなります。

  • 制作会社に何を渡せばよいか分からず、会社案内や商品資料をそのまま送っている
  • デザインは進んでいるのに、自社らしさや商品の約束が画面に出てこない
  • 写真、文章、ロゴ、実績表示をどこまで外に出してよいか不安が残る

ホームページ制作でつまずくのは、たいていデザインではなく中身の決め方です。誰に、何を、なぜ自社が届けるのか。そして、どの表現なら安心して使い続けられるのか。この四つを短いブランド資料にまとめてから渡すと、打ち合わせも仕上がりも変わります。

目次

1.ホームページ制作でズレが起きる理由

(1)デザインの好みだけでは判断できない

ホームページ制作の打ち合わせでは、「明るい雰囲気にしたい」「高級感を出したい」「競合より新しく見せたい」といった話から入りがちです。もちろん見た目は大切ですが、制作会社が本当に知りたいのは、誰に何を伝えれば問い合わせや購入につながるのかです。

例えば、同じ加工技術を紹介するページでも、相手が試作担当者なのか、購買担当者なのか、最終ユーザーなのかで、見せる順番は変わります。技術説明を先に出すのか、困りごとを先に出すのか、導入事例を先に置くのかは、ブランドの約束によって決まります。

(2)社内で言葉がそろっていないまま依頼している

社長は「品質」を売りたいと思っているのに、営業担当は「短納期」を前面に出し、現場は「小回り」を強みにしたいと考えている。この状態で制作を依頼すると、ホームページ上の言葉が散らばります。

制作会社が社内の意見を整理してくれることもあります。ただし、事業の優先順位まで任せきると、きれいに仕上がっても選ばれる理由が伝わりません。まず社内で「今回の新規事業では何を一番覚えてもらうか」を決めておきます。

2.一枚の資料に入れておくもの

(1)Who、What、Whyを一枚にする

最初に渡したいのは、長い会社説明ではなく、次の三つを短くまとめた資料です。

  • Who:誰のどの困りごとに向けた事業か
  • What:その人にどんな変化、安心、便利さを届けるのか
  • Why:なぜ他社ではなく自社がそれを言えるのか

この三つがあると、トップページ、サービスページ、導入事例、問い合わせ導線の役割が決めやすくなります。反対に、ここが曖昧なままだと、制作会社は「見栄えのよい一般的なページ」を作るしかありません。

(2)使う言葉と使わない言葉を分ける

ブランド資料には、積極的に使う言葉だけでなく、使わない言葉も入れておきます。例えば、「格安」「何でも対応」「業界最高水準」のように、自社の本来の価値とずれる言葉や、根拠を示しにくい言葉は避ける候補になります。

新規事業では、つい強く言いたくなります。しかし、根拠が弱い断定表現を増やすと、顧客の期待値がずれ、後で営業や問い合わせ対応が苦しくなります。制作会社に渡す段階で、使ってよい表現、慎重に扱う表現、使わない表現を分けておくと、文章修正の往復も減ります。

(3)実績、写真、素材の根拠を添える

ホームページでは、実績、導入事例、写真、グラフ、顧客の声などが説得力を持ちます。ただし、素材を渡す時には「使ってよい理由」も一緒に渡す必要があります。

顧客名や写真を出すなら使用許諾、数値を出すなら集計方法、技術写真を出すなら公開してよい範囲、外部の画像や文章を使うなら利用条件を確認します。制作会社が素材をきれいに配置してくれても、素材の使用許諾や表示根拠まで自動的に整うわけではありません。

3.依頼前に決めておく範囲

(1)今回のページで取る反応を決める

ホームページ制作の目的を「問い合わせを増やす」とだけ置くと、ページの役割が広がりすぎます。新規事業の初期であれば、まずは資料請求、相談予約、サンプル依頼、見積依頼、展示会後の再訪など、今いちばん欲しい反応を一つか二つに絞ります。

反応を絞ると、必要なページ数も変わります。すぐ販売するページなのか、まず相談を受けるページなのか、営業資料の補助として見せるページなのかで、制作会社に頼む範囲、予算、納期、原稿量が変わります。

(2)修正回数と意思決定者を決める

制作が止まりやすいのは、デザイン案が出た後に社内の意見が増える場面です。営業、開発、現場、経理、後継者など、関係者が多いほど「ここも入れたい」「この言い方は違う」という修正が増えます。

依頼前に、最終判断者、確認する人、修正を出すタイミング、決め直さない範囲を決めておくと、制作会社も進めやすくなります。ブランド資料は、社内の意見を一つに固定するためではなく、迷った時に戻る基準として使います。

(3)公開後に誰が直すかを決める

ホームページは公開して終わりではありません。問い合わせ内容、検索された言葉、営業で使いやすかったページ、読まれなかったページを見ながら直していく必要があります。

公開後の修正を自社で行うのか、制作会社に保守を頼むのか、写真や事例の追加は誰が判断するのかを決めておくと、せっかく作ったページを放置しにくくなります。新規事業ほど、最初の反応から直す余地を残しておくことが大切です。

4.外に出す前に見る権利と表示

(1)制作物の著作権と利用範囲

ホームページの文章、写真、イラスト、図表、動画、デザインには著作権が関わります。文化庁の著作権契約に関する解説でも、報酬を支払って制作物の納品を受けたとしても、原則として著作権まで譲渡されたことにはならず、譲渡を希望する場合は契約書に明記する必要があるとされています。

後からパンフレット、展示会パネル、SNS広告、採用資料、海外向け資料に広げたいなら、どこまで使ってよいか、作り変えてよいか、他の用途に回してよいかを契約で決めておきます。作り手の名前の出し方や、勝手に改変されない権利の扱いも同じ場で話します。制作会社との関係を悪くしないためにも、後から「自由に使えると思っていた」と揉めないよう、最初に決めておきます。

(2)商品名、サービス名、ロゴの商標確認

ホームページは、商品名やサービス名を外に出す場です。商標は、自社の商品やサービスを他社のものと見分けてもらうための目印になります。特許庁の説明にもあるとおり、守られるのはマーク単体ではなく、そのマークをどの商品・サービスに使うかまで含めた範囲です。

注意したいのは、権利の順番が使い始めた早さでは決まらないことです。ホームページで名前を出して育てた後でも、他社が似た商品・サービスですでに出願・登録していれば、その名前を使い続けられなくなることがあります。候補が固まった時点で、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」に一度かけてみてください。似ているかどうかの判断は弁理士に相談します。

(3)効果表示と通信販売表示

一般消費者に向けて「高品質」「短納期」「選ばれています」「コスト削減」と書くなら、その根拠を手元に残します。これらは景品表示法の対象です。中身を実際より良く見せれば優良誤認表示、価格や取引条件を実際より得に見せれば有利誤認表示になります。

また、消費者からの申込みをホームページ上で受けるなら、特定商取引法の通信販売表示も関わります。注文を確定する直前の画面では、分量、価格、支払時期と方法、引渡時期、申込期間、返品や解約の条件を一目で確認できるようにします。問い合わせ、資料請求、相談予約だけを受けるページなら、通常ここまでの表示は求められません。だからこそ、依頼する時点で販売ページなのか問い合わせページなのかを分けて伝えておくと、必要な表示を落とさずに済みます。

5.公開後の反応を、資料に書き足す

(1)問い合わせ内容を言葉の修正に使う

公開後に見るべきなのは、アクセス数だけではありません。どのページを見た人が問い合わせたか、どの言葉に反応したか、営業で説明し直すことが多かった点は何かを記録します。

例えば、問い合わせで「短納期」より「小ロット試作」への反応が多いなら、見出しや事例の順番を変える余地があります。制作会社にそのまま渡せる形で残しておけば、次の修正を感覚ではなく実際の反応から決められます。

(2)守る表現を増やしていく

反応が良かった商品名、説明文、事例、図解は、今後も使う資産になります。だからこそ、商標出願を検討する名前、根拠資料を残す表示、公開しない技術情報、許諾を取り直す写真を分けておく必要があります。

ホームページ制作は、見た目を整えるだけの仕事ではありません。顧客に伝わった言葉を、次の営業、展示会、資料、採用でも使える形にしていく仕事です。反応を取りに行くことと、反応が返ってきた名前や表現を安心して使い続けられるようにすることは、ひと続きの作業になります。

まとめ

新規事業のホームページ制作では、制作会社へ渡す前のブランド資料が仕上がりを大きく左右します。

  • Who、What、Whyを一枚にして、誰に何を約束するページかを明確にする
  • 使う言葉、使わない言葉、素材の使用許諾、表示根拠を分けて渡す
  • 商品名・サービス名の商標、制作物の著作権、通信販売表示を公開前に確認する

完璧な資料を最初から作る必要はありません。制作会社との打ち合わせで迷った時に戻れる基準を持つだけでも、ホームページは単なる会社案内ではなく、新規事業の価値を顧客へ届ける入口になります。プロソラでは、ブランディングの言語化と、商標・著作権・表示の確認をつなげて、外へ出した言葉を使い続けられる形に整える支援を行っています。

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この記事を書いた人

中小企業・スタートアップ企業の事業に関する知的財産の問題点とその解決策を「わかりやすく」伝える専門家。お客さまの知的財産に関する課題解決に必要な「最適な事業判断」を行っていただく為のサポートを提供しています。

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