新規事業の指名検索を増やすなら、商品名と説明文を同じ言葉にする


新規事業のWebサイトや営業資料を整えても、社名や商品名で検索される機会がなかなか増えないことがあります。
- 展示会では反応があったのに、後から商品名で探してもらえない
- 営業担当によって、商品名の説明や強調する言葉が少しずつ違う
- 検索結果に出た時、何をしている商品なのか一目で伝わらない
結論から言えば、指名検索を増やすために最初に見るべきものは、広告の量だけではありません。商品名、説明文、Webの見出し、営業資料の言葉を同じ方向へそろえ、さらにその名前や表示を安心して使い続けられるかを確認することです。
この記事では、ブランド全体のステートメントではなく、商品名の横に置く短い説明文と検索結果での見え方について解説します。
1.指名検索が増えにくい理由
(1)商品名だけでは思い出せない
指名検索は、顧客が社名、商品名、サービス名を覚えていて、後から自分で探す行動として考えると分かりやすくなります。ところが、新規事業の初期は、商品名だけを先に見せても覚えてもらえないことがあります。
例えば、造語の商品名を展示会で紹介したとします。その場では印象に残っても、後から顧客が検索する時には「何のための商品だったか」「自分の困りごとにどう関係したか」を思い出せないことがあります。名前と説明が離れていると、検索する手が止まります。
最初に必要なのは、かっこいい名前を何度も出すことではなく、「この名前は、誰のどんな困りごとを解決するのか」を短くセットで覚えてもらうことです。
(2)Webと営業資料の言葉がずれている
もう一つの原因は、Webサイト、チラシ、営業資料、展示会トークで使う言葉がずれていることです。Webでは「DX支援」と書き、営業資料では「現場の手間を減らす仕組み」と書き、展示会では別の商品名を前面に出していると、顧客はどの言葉で検索すればよいか分かりません。
新規事業では、まだ顧客の頭の中にカテゴリがありません。だからこそ、商品名と説明文を同じ言葉で繰り返す必要があります。社内で言い換えが多い状態は、顧客が後から探す時の迷いにつながることがあります。
2.商品名と説明文を同じ言葉にする
(1)名前の横に置く説明文を一つ決める
指名検索につなげるためには、商品名の横に置く短い説明文を先に決めます。ここでいう説明文は、長いブランドストーリーではありません。顧客が後から検索欄に入れられる程度の、短い言葉です。
- ① 誰向けの商品か
- ② どんな困りごとを減らすのか
- ③ なぜ自社がそれを言えるのか
例えば、「工場の見積ミスを減らす部品管理ツール」のように、対象と変化が分かる言葉にします。実際の商品名が造語でも、その横に置く説明文が安定していれば、顧客は名前と用途を結びつけやすくなります。
(2)ページタイトル、見出し、営業資料へ通す
説明文を決めたら、Webサイトのページタイトル、最初の見出し、商品ページの冒頭、営業資料の表紙、展示会パネル、メールの件名まで見直します。全部を同じ文章にする必要はありませんが、同じ顧客、同じ困りごと、同じ約束が伝わるようにします。
Google Search CentralのSEOスターターガイドでは、SEOは検索エンジンが内容を理解しやすくし、利用者が検索結果から訪問するか判断しやすくする取り組みだと説明されています。ただし、Search Essentialsを満たしても、クロール、インデックス、表示、順位が保証されるわけではありません。指名検索でも同じで、検索結果に出た時に「この会社のあの商品だ」と分かる状態を作ることが重要です。
3.検索結果で約束が伝わる状態
(1)検索される言葉を増やしすぎない
新規事業では、魅力を伝えようとして言葉を増やしすぎることがあります。「高品質」「安心」「簡単」「次世代」「伴走型」「課題解決」などを並べると、一見よく見えます。しかし、どの言葉で覚えてほしいのかがぼやけます。
指名検索を増やしたいなら、最初は検索される言葉を絞ります。商品名、社名、用途を示す説明文、代表的な困りごとの四つを中心にします。顧客が人に説明する時に使える言葉を残し、社内だけで通じる専門語は補足へ回します。
(2)言い切る表現には根拠を置く
検索結果で目立たせたいからといって、「業界No.1」「必ず改善」「どこよりも選ばれている」といった強い表現を根拠なく使うのは危険です。消費者庁は優良誤認とはのページで、商品やサービスの内容について実際より著しく優良であると示す表示などを説明しています。
指名検索につながる言葉は、顧客から信頼されて初めて育ちます。実績、比較条件、対象期間、試験結果、顧客の声の使用許諾など、後から説明できる根拠を残しておきます。攻める言葉ほど、守る資料も一緒に用意します。
4.外に出す前の商標確認
(1)商品名は早めにJ-PlatPatで確認する
商品名やサービス名が決まってきたら、外へ広げる前に商標の確認をします。特許庁は商標制度の概要で、商標を自社の商品・サービスを他社のものと区別するために使うマークとして説明しています。
入口確認には、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」を使えます。ただし、似ているかどうか、指定商品・指定役務が事業に該当するかどうかは専門家である弁理士の判断を求めておくのが無難です。
商標法では、同一又は類似の商品・役務について使用する同一又は類似の商標について、異なった日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみが登録を受けられるという先願の考え方を定めています。また、自社の出願日前に出願された他人の登録商標又はこれに類似する商標で、指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品・役務について使用するものは、商標登録されないことになっています。覚えてもらう名前ほど、早めに確認しておく方が安全です。
(2)説明文は商標の代わりではない
説明文をそろえることは、指名検索には役立ちます。ただし、説明文を何度も使っているからといって、商品名やサービス名をそのまま守れるわけではありません。説明的すぎる名称は、商標として識別力が弱く商標登録できない場合が多くあります。
そのため、顧客に伝わる説明文と、自社だけの目印になる名称を分けて考えます。説明文は「何をする商品か」を伝える役割、商品名は「誰の商品か」を覚えてもらう役割です。この二つを混ぜずに設計すると、攻めの分かりやすさと守りの確認を両立しやすくなります。
5.指名検索を育てる小さな記録
(1)検索語と問い合わせの言葉を残す
指名検索は、増えたかどうかだけを見ても次の行動につながりません。どの名前で検索されたか、社名と商品名が一緒に探されたか、用途を示す言葉と一緒に探されたかを見ます。Search Consoleを使っている場合は、社名、商品名、サービス名、代表的な説明文を含むクエリを分けて確認します。
問い合わせフォームや商談でも、相手が使った言葉を残します。「展示会で見たあの商品」「見積の手間を減らすツール」「新規事業のブランド相談」のような言葉は、次にWebや資料を直す材料になります。
(2)増えない時は名前より先に接点を見る
指名検索が増えない時、すぐに商品名を変える必要はありません。先に、顧客がその名前に出会う接点を見ます。営業資料の表紙、Webの最初の見出し、展示会パネル、名刺、メール署名、導入事例、SNS投稿で、同じ名前と説明文が出ているかを確認します。
接点がばらばらなら、商品名の問題ではなく、運用の問題かもしれません。逆に、接点をそろえても検索されないなら、名前が覚えにくい、説明文が顧客の言葉から離れている、検索結果で約束が見えない、といった原因を順に見直します。
まとめ
新規事業の指名検索を増やしたいなら、まず商品名と説明文を同じ言葉で使うところから始めます。商品名だけを広げるのではなく、誰のどんな困りごとに関係する名前なのかを、Web、営業資料、展示会、メールで一貫させます。
同時に、外へ出す名前は商標として確認し、強い表示には根拠を残します。検索される言葉は、顧客に覚えてもらうための攻めであり、長く使い続けるための守りでもあります。
プロソラでは、新規事業のブランド名、説明文、検索される言葉、商標確認、表示根拠の整理を一体で支援しています。社名や商品名で探される状態を作りたい場合は、まず今使っている商品名と説明文が同じ方向を向いているかを見直してみてください。
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