商標の拒絶理由通知が届いた場合はどう対応すればよいですか?

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商標の拒絶理由通知が届いたら? 知っておきたい対応の手順

  • 商標出願した後に暫くして特許庁から拒絶理由通知書が届いた。これは一体なに?
  • 拒絶理由が通知されたら、商標を登録できないのか?
  • 対応するとしたら、どんな方法があるのか?

以上のような問題意識を持つ経営者や担当者の方々のために、この記事では商標の拒絶理由通知が届いた場合の対応方法について、詳しく解説します。

拒絶理由通知がなぜ届くのか?

商標出願後の一般的な流れ

商標を出願すると、概ね半年前後で、特許庁による審査が行われます。これは出願された商標が登録の要件を満たしているかをチェックするもの。要件を満たしていれば商標登録が認められ、一つでも要件を満たしていないと拒絶理由通知が送付されます。

拒絶理由通知とは何か?

拒絶理由通知は、商標の登録を拒絶する理由を出願人に知らせる書面。例えば、「商品・サービスの区分が間違っている」「他人の既に登録された商標と類似している」「商標としての識別力が無い」という理由が記載されます。出願人に反論などの機会を与える目的で通知されるものです。

拒絶理由通知に対応するとどうなる?

拒絶理由通知書が届いても慌てず冷静に対応方法を検討する必要があります。適切な対応によって拒絶理由を解消できる場合も多いからです。具体的には、「特許庁の認識に対して反論する」「出願の内容を補正する」などの対応方法があります。


上記の対応によって、拒絶理由が解消すれば審査の最終認定として「登録査定」となり、その後に登録料を納付すれば商標は登録されます。


上記の対応によっても拒絶理由が解消しないときは「審査」の最終認定として「拒絶査定」となります。これに対しては「拒絶査定不服審判」という上級審での審理を請求することができるようになっています。

主な拒絶理由とその内容

商品・サービスの不明確、区分の間違い

商標出願の書面に記載された、「商品・サービスの内容が不明確である場合」や、「商品・サービスの区分が間違っている場合」は、これらが拒絶理由となります。


例えば、商品「消毒用せっけん」の区分は第5類、商品「浴用せっけん」の区分は第3類ですが、これを出願書面に、第3類「浴用せっけん,消毒用せっけん」と記載していた場合は、「消毒用せっけん」の区分が間違っているため、拒絶理由となります。

商標としての識別力がない

商標は自社の商品・サービスを他社の商品・サービスと識別するための目印。この識別する能力(識別力)が無い商標の場合、「識別力が無い」という拒絶理由が通知されます。


例えば、商品「いちご」について、その商品の普通名称である商標「いちご」や、商品の品質を表す商標「美味しい」は識別力がありません。これら商標が表示された商品「いちご」は、どの会社の商品であるか識別できないからです。

商品の特徴をわかりやすく訴求するために商品の品質などを直接的に表示すると識別力が無く、間接的・暗示的に表示する程度であれば識別力が有るというのが審査の実務です。どちらなのかグレーなことが多いため、「識別力がない」の拒絶理由が少なくありません。

他人の先行商標との関連

商品・サービスが同一か類似の関係にある場合において、既に登録されている他人の商標と同一である、または類似しているという場合は、拒絶理由が通知されます。重複関係にある商標が登録されないようにして、消費者が商品選択の場面で混乱することを防いでいるのです。


例えば、商標「ダンネル」と商標「ダイネル」、商標「コレクシット」と商標「コレクシト」は類似すると認定されるものと考えられます。

その他の主要な拒絶理由

上記の他にも、国・地方自治体等の標章と同一・類似であるもの、公序良俗に反するもの、商標登録されていないが消費者に広く認識されているもの、品質等を誤認させるもの、など様々な拒絶理由があります。

拒絶理由通知に対する具体的な対応方法

拒絶理由の確認と専門家への相談

拒絶理由通知が届いたら、まずは、拒絶理由の内容をしっかりと確認する必要があります。しかし、拒絶理由通知に記載された文言は専門的であり、商標の専門知識が無いと理解することが容易ではありません。


よって、専門家である弁理士に拒絶理由通知の内容を確認してもらい、弁理士に詳しく解説してもらうことをお勧めします。そのうえで、具体的な対応方法を検討することが必要です。

意見書や補正書の提出

拒絶理由の内容に対して、その反論を記載した意見書を提出することで、特許庁の拒絶理由の認識をくつがえすことができる場合があります。また、出願内容に誤りや不足がある場合、補正書を提出して修正することもできます。


これら意見書・補正書とも、拒絶理由を解消するための重要なものであり、そのために論理を尽くして正確に記載する必要があるため、弁理士に作成を依頼することをお勧めします。

この場合、弁理士に書面作成を丸投げにせず、弁理士から対応案を幾つか提示してもらい意思決定したうえで、弁理士に書面作成してもらうことが望ましいといえます。

新たな商標出願の検討

拒絶理由の内容によっては、拒絶理由の解消が困難であると判断される場合もあります。

この場合、新しい商標を出願し直すことも対応方法の一つとなります。再度の出願の為の費用や手間がかかりますが、長期的な視点において確実に商標登録してブランド戦略を構築することができるため選択肢の一つとなりえます。

期限内の適切な対応の重要性

拒絶理由通知書には、対応の期限が明記されています。この期限内に適切な手続きを行わないと、出願が拒絶査定になってしまいます。対応方針の検討や書面作成には時間がかかりますので、拒絶理由通知書が届いたら、すぐに弁理士に対応を相談されることをお勧めします。

弁理士への依頼のメリット

拒絶理由の内容の理解

商標の拒絶理由は、法的な文言や専門的な表現を多く含んでおり、一般的な経営者や知財担当者には難解であることが多いといえます。

弁理士は拒絶理由への対応などを取り扱うプロフェッショナルです。弁理士に依頼することで、拒絶理由の内容を明確に理解することが可能となります。

商標の知識・経験を活かした的確な対応

商標登録までのプロセスでは、多くの法的判断や戦略的な選択が必要となります。弁理士は商標の知識・経験を活かして最も適切な対応策を提案することができます。


拒絶理由に対する意見書・補正書の提出や、これらが不調に終わった場合の新しい対応方針の策定など、総合的な観点でのサポートを得ることができます。

複雑な手続きや期限の管理

商標の出願や拒絶理由に対する手続きは、一連の流れや期限が定められています。特に、期限を過ぎると、その後の手続きが不能となるなどリスクがあります。弁理士に、これら手続きの期限管理を依頼することもできます。適切なタイミングでの必要なサポートを期待できます。

まとめ

商標の拒絶理由通知への対応は弁理士のサポートが必要

以上で説明しましたとおり、商標の拒絶理由通知に対しては、慌てず冷静に対応方法を検討する必要があります。適切な対応によって拒絶理由を解消できる場合も多いです。


拒絶理由には様々なものがあり、その内容を理解するためにも、対応方針を検討するためにも、商標の専門的な知識・経験が必要です。


拒絶理由通知に適切に対応することによって、商標登録の確率を大幅に上げることが可能となります。弁理士のサポートを受けて対応することが現実的且つ効果的ですので、弁理士に依頼されることをお勧めいたします。

当事務所へのお問い合わせ方法

当事務所では、商標の出願から登録までの全ての手続きをサポートしております。

拒絶理由通知が届いて戸惑っている経営者・担当者の皆さま、私たちにお気軽にご相談ください。貴社の大切な商標権を確保するお手伝いをさせていただきます。

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この記事を書いた人

中小企業・スタートアップ企業の事業に関する知的財産の問題点とその解決策を「わかりやすく」伝える専門家。お客さまの知的財産に関する課題解決に必要な「最適な事業判断」を行っていただく為のサポートを提供しています。

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