ポジショニングマップの作り方とは?中小企業経営者が選ばれる立ち位置を見つける5つのステップ

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ポジショニングマップの作り方とは?中小企業経営者が選ばれる立ち位置を見つける5つのステップ

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新しい事業やブランドを立ち上げようとしたとき、こんな悩みを抱えていませんか。

  • 「自社の強みは分かっているのに、市場で『どこに立てばいいか』が見えない」
  • 「気づけば大手と同じ土俵で価格競争に巻き込まれている」
  • 「ブランドコンセプトを決めたいが、競合と被らない切り口が分からない」

結論から言いますと、自社の立ち位置を一枚の図として可視化する『ポジショニングマップ』を作ることが、中小企業が同質化競争から抜け出すための最短ルートです。限られた経営資源で「選ばれる理由」を生み出すには、闇雲に強みを発信するのではなく、顧客の頭の中で空いている場所を狙って旗を立てる必要があります。

本記事では、合同会社Prosora(攻め=ブランディング)とプロソラ知的財産事務所(守り=商標・知財)の両輪の視点から、ポジショニングマップの作り方を5つのステップで解説します。

目次

1.ポジショニングマップとは何か?

(1)顧客の頭の中で「自社の場所」を可視化するツール

ポジショニングマップとは、縦軸と横軸の2つの評価項目を設定し、自社と競合を同じ平面にプロットして、それぞれが市場でどんな位置にあるかを可視化する図のことです。

マーケティングの基本フレームワークでは、市場をどう切り分けるかを決める「セグメンテーション(市場細分化)」、その中から狙う層を決める「ターゲッティング(見込み客の選定)」、そして自社が戦う場所を決める「ポジショニング」の順で戦略を立てます。3つの頭文字をとってSTPマーケティングと呼ばれる枠組みで、ポジショニングはその仕上げにあたる工程です。

(2)「絶対的な強み」ではなく「相対的な独自性」を映す

ポジショニングマップの本質は、自社単独のスペック比較ではなく競合との相対関係を可視化することにあります。たとえば「丁寧な対応」という強みは、競合も同じことを言っていれば差別化要素になりません。逆に競合が誰も狙っていない切り口を見つけられれば、それだけで「選ばれる理由」になります。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会のブランド構築8ステップでも、ポジショニングは「立ち位置の明確化」として、ブランド・アイデンティティ(旗印)の設定の直前に置かれる重要工程です。

2.なぜ中小企業こそポジショニングマップが必要なのか

(1)正面突破では大手に勝てない

中小企業が「品質」「価格」「サービス」という王道の軸で大手と戦えば、資本力の差で消耗戦になります。中小企業庁『中小企業白書』でも、価格競争に巻き込まれた中小企業の収益悪化が繰り返し指摘されてきました。

3C分析(顧客・競合・自社)で言えば、3つの円がすべて重なるレッドエリア(同質化・価格競争)から、顧客ニーズはあるのに競合がまだ手をつけていないブルーエリアへ移るための地図が、ポジショニングマップです。

(2)「不満・不安・不便・不快・不足」が切り口になる

ブルーエリアを見つける鍵は、顧客の5つの負の要素に着目することです。「書き間違いを消したい」という不便を「擦って消えるインク」で解消したフリクションペン(パイロット)は、その代表例です。普通のボールペンが100〜200円で同質化競争をしていた市場で、負の要素一点に集中して新しい立ち位置を作りました。

中小企業の経営者であれば、現場で日々お客様の小さな不満を聞いているはずです。その断片こそ、ポジショニングマップで軸を引くときの最重要素材になります。

(3)一貫性のあるブランド体験につながる

ポジショニングが定まると、商品設計・価格・販路・販促・接客のすべてに一本の軸が通ります。逆に立ち位置があいまいなまま発信を続けると、メッセージが分散して顧客の頭の中で「何屋なのか」が定着しません。ブランディングの3原則である「一貫性・意図的・継続性」を支える土台が、ポジショニングなのです。

3.ポジショニングマップを作る5つのステップ

ステップ1.環境分析で市場と競合を把握する

いきなりマップを描き始めるのは禁物です。まずはマクロ視点のPEST分析(政治・経済・社会・技術)で外部環境の変化を押さえ、ミクロ視点の3C分析で「顧客→競合→自社」の順に深掘りします。順序が大事で、自社から始めると思い込みに引きずられます。

競合は、同業種・同業態の直接競合だけでなく、業種は違うが顧客の選択肢に上がる間接競合まで広げて洗い出します。BtoB事業であれば「相見積りになる相手」が直接競合の典型です。

ステップ2.軸となる2つの評価項目を設定する

マップの縦軸と横軸に置く評価項目を選びます。鉄則は顧客が購買判断に使う基準から選ぶことです。提供者目線で「うちの技術力」と書いても、顧客がその軸で選んでいなければ意味がありません。

軸の候補を出すコツは、「不満/不安/不便/不快/不足」の5つの負の要素を起点に、顧客が解消したいことを2つ抽出することです。たとえば「価格の高低」と「サポートの手厚さ」、「カスタマイズ自由度」と「導入スピード」のように、相反するように見える2軸を選ぶと差が際立ちます。

軸が「強い/弱い」「良い/悪い」など主観的すぎると、マップが説得力を失います。第三者が見て同じ場所にプロットできる客観性のある軸を選んでください。

ステップ3.自社と競合をマップにプロットする

選んだ2軸の平面に、直接競合・間接競合・自社を配置します。各社の現状を、Webサイト・パンフレット・口コミ・公開価格などから客観的に評価することがポイントです。

ここで多いのが「自社を評価しすぎる」失敗です。3C分析の自社評価は、絶対評価ではなく相対評価で行うのが原則。競合と並べたときに同じ場所に重なるのであれば、それは差別化要素ではないと割り切る判断が必要です。

ステップ4.ブルーエリアを特定し独自ポジションを言語化する

マップを眺めて、競合がいない/少ないエリアを探します。そこが市場機会、すなわちブルーエリアです。ただし、空いているのには理由があります。「顧客ニーズがそもそもない」エリアは空白でも狙う価値がありません。顧客ニーズがあり、自社の強みで応えられ、競合がまだ手をつけていないという3条件が揃うエリアを探してください。

狙うエリアが決まったら、その立ち位置を一文で言語化します。Who(誰に)/What(何を)/Why(なぜ他ではなく自社か)の3要素で骨格を作るのが定番です。ここで言語化された一文は、次工程のブランド・アイデンティティ(旗印)の核になります。

ステップ5.ポジショニングを商標・意匠で守る

独自ポジションを決めても、それを表現するブランド名・ロゴ・タグライン・パッケージデザインを他社に先回りされたり真似されたりすれば、立ち位置自体が崩れます。攻めの言語化と同時に、守りの権利化を進めることが鉄則です。

商標は商標法第8条第1項(先願主義)により、先に出願した者に権利を与える制度です。ブランド名やタグラインが固まったら速やかに出願してください。意匠(パッケージや製品形状)は新規性が登録要件であり、展示会出展・EC販売開始よりも前に出願しないと権利化できなくなる点に特に注意が必要です。「攻めと守り」は車の両輪として同時に回すのが基本姿勢です。

4.ポジショニングを法的に守るための知財チェックリスト

(1)ブランド名・タグラインは商標で守る

ブランド名やタグラインを商標出願する際に注意すべき条文は次のとおりです。

  • 商標法第3条第1項第3号(記述的商標)・同第6号(識別力なし):商品・役務の品質や用途を普通に表示するだけの言葉、ありふれた言葉は登録できません。「お惣菜屋さん」「宅配お弁当」のような一般名称は典型例です。
  • 商標法第3条第2項:使用を続けて識別力を獲得した場合は登録の余地が生まれます。ただし、ハードルが極めて高いことには留意が必要です。
  • 商標法第4条第1項第11号:先に登録された他社商標と同一・類似であれば登録できません。出願前の調査が必須です。

商標調査は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する特許情報プラットフォーム『J-PlatPat』で誰でも無料で行えます。ただし類似判断は専門知識が必要なため、最終判断は弁理士への相談をおすすめします。

(2)パッケージや形状は意匠で守る

独自のパッケージデザインや製品形状でポジショニングを表現する場合は、意匠法による保護が有効です。意匠は新規性が登録要件のため、発表・展示会出展・EC販売開始よりも前に意匠登録出願することが鉄則です。先に公開してしまうと新規性を失い、原則として権利化できなくなります。

(3)未登録ブランドの補完保護

登録前のブランドでも、市場で広く知られた状態であれば不正競争防止法第2条第1項第1号(周知表示混同惹起行為)や同第2号(著名表示冒用行為)による補完的な保護を受けられる場合があります。ただしこれは予防ではなく事後救済の枠組みであり、商標登録による予防的保護を第一に置くのが基本です。また、周知・著名の立証はハードルが高いことに留意が必要です。

5.ポジショニングマップでよくある失敗3つ

(1)軸を「自社目線」で選んでしまう

「技術力の高さ」「歴史の長さ」など、提供者しか気にしていない軸でマップを作っても市場機会は見えません。顧客が購買時に天秤にかける2軸を選ぶこと。これが鉄則です。

(2)競合分析が直接競合だけで終わっている

整形外科の間接競合は整骨院、ケーキショップの間接競合はコンビニスイーツ、というように、顧客は業種を超えて選択肢を比較しています。直接競合だけ見ていると本当のブルーエリアを見落とします。

(3)言語化せずマップで満足してしまう

マップは思考整理のツールにすぎません。最終成果物は「Who/What/Why」で言語化された一文の独自ポジションです。一文に落とせていない段階で動き出すと、商品設計・販促・接客のすべてがブレます。

6.まとめ:攻めと守りを両輪にポジショニングを資産化する

ポイントは次の3点に集約されます。

  • ポジショニングは絶対評価ではなく相対評価。競合との関係の中で「顧客の頭の中で空いている場所」を狙う。
  • 5つの負の要素(不満・不安・不便・不快・不足)を起点に2軸を選び、ブルーエリアを言語化する。
  • 言語化した立ち位置は商標・意匠で守る。先願主義と新規性喪失リスクを踏まえ、表現と同時に権利化を進める。

プロソラグループでは、合同会社Prosoraによる『立ち位置の言語化とブランド構築(攻め)』と、プロソラ知的財産事務所による『商標・意匠の取得と保全(守り)』を、完全に連動させてサポートしています。「経営・ブランド・知財が三位一体」の体制で、中小企業経営者の独自ポジションを資産として育てます。

ポジショニングマップの作成や、新規事業の立ち上げをご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。完璧な準備なんていりません。殴り書きのメモでも、飲み屋で語るような夢の話でも構いません。真っ白な状態でお話しできる方が、余計なコストをかけず、強くて愛されるブランドの種を見つけることができます。

お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

中小企業・スタートアップ企業の事業に関する知的財産の問題点とその解決策を「わかりやすく」伝える専門家。お客さまの知的財産に関する課題解決に必要な「最適な事業判断」を行っていただく為のサポートを提供しています。

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