ブランドコンセプトの決め方は?中小企業が差別化を実現する5つのステップ

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ブランドコンセプトの決め方は?中小企業が差別化を実現する5つのステップ

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「自社の強みをうまく言葉にできず、価格競争から抜け出せない」

「ブランドを作りたいけれど、何から手をつければいいかわからない」

「フレームワークや例を見ても、自社に落とし込めない」

このようなお悩みをお持ちの中小企業の経営者様は少なくありません。ブランドコンセプトは、ロゴやキャッチコピーの前に決めるべき「選ばれる理由の設計図」です。ここが曖昧なまま広告や販促に費用をかけても、メッセージがブレてしまい効果が出にくくなります。

結論から申し上げますと、ブランドコンセプトは「誰に・何を・なぜ約束するのか」を明確に言語化することです。ブランディングは、このブランドコンセプトに基づいてブランドを「育て」「守る」ことで完成します。

本記事では、中小企業が実務でそのまま使える5つのステップと、失敗を避けるためのポイントをブランドトレーナーの視点から解説します。また、弁理士の視点からブランドを守る為の方法もあわせて説明します。

目次

1.ブランドコンセプトとは何か?

(1)ブランドコンセプトの定義

ブランドコンセプトとは、自社のブランドが「誰に」「どのような価値を」「なぜ提供するのか」を一文または短い言葉で表した、ブランド活動すべての土台となる基本方針のことです。

商品名、ロゴ、パッケージ、接客、Webサイトのトーン、採用メッセージといった、顧客が触れるすべての接点は、このコンセプトに沿って設計されます。したがって、ブランドコンセプトがブレると、すべての発信がバラバラになり、顧客の中に一貫した印象が残りません。

(2)キャッチコピーや経営理念との違い

ブランドコンセプトは、しばしばキャッチコピーや経営理念と混同されますが、役割が異なります。

  • 経営理念:会社の存在意義・社会的使命。対象は主に自社と社会。
  • ブランドコンセプト:顧客との約束。対象は顧客であり、事業ごとや商品・サービスごとに設定する。
  • キャッチコピー:ブランドコンセプトを広告媒体で伝えるための表現。コンセプトから派生する成果物。

つまり、経営理念が「なぜこの会社が存在するか」であるのに対し、ブランドコンセプトは「なぜ顧客があなたを選ぶのか」という顧客起点の約束である点に違いがあります。

2.なぜ中小企業こそブランドコンセプトを決めるべきなのか?

(1)価格競争から抜け出す「軸」になる

経営資源が限られる中小企業が大手と同じ土俵で価格競争を続けると、確実に消耗します。ブランドコンセプトが明確であれば「価格以外の理由」で選ばれるようになり、値引き交渉に振り回されにくくなります。結果として粗利益率が安定します。

(2)社内の判断基準が統一される

新商品の企画、採用、販促施策、取引先選定。日々の意思決定のたびに「これはうちのブランドらしいか?」という共通の物差しができると、社内の迷いや手戻りが減り、経営のスピードが上がります。ブランドコンセプトは、いわば社内向けの意思決定の羅針盤でもあるのです。

(3)外部への発信が一貫する

Webサイト、SNS、チラシ、営業トーク。発信者がバラバラでも、コンセプトという共通言語があれば、どの接点から顧客が入ってきても同じブランド印象を受けます。この積み重ねが「〇〇といえば、あの会社」というブランド想起につながり、指名購入の可能性が高まります。

3.ブランドコンセプトの決め方:5つのステップ

ステップ1.自社の「本質的価値」を棚卸しする

最初にロゴやネーミングの話を始めてはいけません。まず、自社の内側を掘り下げます。次の問いに、経営者自身と主要メンバーで答えを出してみてください。

このとき、その事業や商品・サービスを取り巻くマクロ視点・ミクロ視点での環境分析により事業の勝機を見出せる市場機会を発見します。

  • 安さ以外で、自社が選ばれている理由は何か
  • 他社に絶対に負けないと言い切れる独自のこだわり・技術・経験は何か
  • この事業を通じて、顧客にどのような未来を届けたいか
  • 創業時に解決したかった「不便」「不満」「悲しみ」は何だったか

ポイントは、きれいな言葉でまとめようとせず、現場の言葉・創業者の原体験をそのまま書き出すことです。

ステップ2.ターゲット顧客を一人に絞り込む

「すべての人」を狙うコンセプトは、誰の心にも刺さりません。次の粒度でペルソナを設定します。この為、先ずは市場のセグメンテーション(市場細分化)とターゲッティング(見込み客の選定)を行います。その上で理想顧客になる特定の人物像として「ペルソナ」を設定します。

  • 業種・職種・役職・年齢・家族構成
  • 抱えている具体的な悩み・不満・不安
  • 現在使っている代替手段と、それに対する不満点
  • 購入・契約の意思決定者は誰か

「理想の顧客一人の顔が思い浮かぶ」レベルまで絞り込むと、次のステップでの言葉選びが一気にシャープになります。

ステップ3.提供価値を「独自の約束」として言語化する

ステップ1と2をつなぎ、自社が市場で勝てるポジションを明確にした上で、ブランドコンセプトの骨格を作ります。以下の3要素を短く定義するのが基本形です。

  • Who(誰に):ステップ2のターゲット
  • What(何を):ステップ1の本質的価値を、顧客便益の言葉に置き換えたもの
  • Why(なぜ他ではなく自社か):競合と自社を分ける独自の理由

これを一文にまとめると、たとえば「〇〇に悩む□□の方に、△△という方法で、他にはない××をお届けします」といった形になります。これがブランドコンセプトです。ブランド・アイデンティティとも言います。具体的で分かり易く、競合が真似しづらい約束になっているかを確認してください。

ステップ4.ブランド・ステートメントに落とし込む

コンセプトの言葉は、社内で共有・運用できて初めて意味を持ちます。そこで役立つのが「ブランド・ステートメント」です。次の項目を設定して書き出します。

<ブランドコンセプト設定までの内容>

  • 提供価値(What)・独自性(Why)
  • ターゲット顧客(ペルソナ)
  • ブランド・アイデンティティ

<ブランドコンセプトに基づく検討結果>

  • 企業視点・顧客視点での商品・サービスの設計
  • ブランド名/サービス名
  • ロゴ
  • 推奨すべきこと・禁止すべきこと
  • カスタマージャーニー・各接点での表現ルール

このシートを、販促物の制作、Webサイトの改修、採用広報、接客マニュアル作成など、すべての外向き活動の判断基準として使っていきます。

ステップ5.商標登録で「資産」として守る

ブランドコンセプトを体現するのは、多くの場合、会社名・事業名・商品名・サービス名・ロゴといった商標です。ここで法的な守りが抜けていると、中小企業のブランディングは致命的なリスクにさらされます。具体的には、次のような事態が起こり得ます。

  • 認知度が上がってから、他社の商標権侵害を指摘され、名称変更を余儀なくされる
  • 先に類似商標を第三者に登録され、自社が使えなくなる
  • 模倣品が出ても差止請求ができず、ブランド価値が希釈化する

こうした事態を避けるため、商標の事前調査と商標出願は、ブランドコンセプトに基づいてブランド名やロゴが固まった段階で必ず着手しておくべきです。日本の商標制度は、先に使い始めた人ではなく、原則として先に出願した人に権利を与える「先願主義」を採用しているため(商標法第8条第1項)、後回しにするほど不利になります。

なお、商標の事前調査は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で誰でも無料で行えます。ただし、類似範囲の判断には専門知識が必要なため、最終判断は弁理士に相談することをおすすめします。

4.ブランドコンセプトを決めるときによくある失敗

(1)抽象的すぎて誰にも伝わらない

「お客様に寄り添う」「最高品質をお届けする」といった言葉だけでは、競合他社も同じことを言えてしまい、差別化になりません。必ず「自社にしか言えない具体性」を含めることが重要です。

(2)競合と被るコンセプトを選んでしまう

コンセプトを決める前に、同業他社の事業内容をよく観察し、重ならない事業ポジションを取ることが必要です。ポジショニングマップを描くと、空いているポジションが可視化されます。

(3)コンセプトが一度決めたら変えられない、と思い込む

事業フェーズや顧客の変化に応じて、ブランドコンセプトは見直してよいものです。ただし、見直しの都度、商標や対外表現との整合性を確認することが前提になります。

(4)守りの視点が抜けている

コンセプトと商標権をセットで考えないと、育てたブランドを他社に奪われるリスクが残ります。最初から「攻め(言語化)」と「守り(商標)」を両輪で設計してください。

まとめ

プロソラは、ブランドの「攻め」と商標・知財の「守り」を一気通貫でサポートする体制を整えています。貴社のブランド構築・知的財産戦略について、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

中小企業・スタートアップ企業の事業に関する知的財産の問題点とその解決策を「わかりやすく」伝える専門家。お客さまの知的財産に関する課題解決に必要な「最適な事業判断」を行っていただく為のサポートを提供しています。

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