商標を登録するために相談できますか?
- 商標を登録する為の手順や、弁理士に依頼した場合の費用を知りたい。
- 商標を登録する為に注意すべき点があれば教えてほしい。
- 現在検討中のネーミングを商標に登録できるか確認したい。
以上のような問題意識を持つ経営者や担当者の方々のために、本記事では商標の登録に関する相談の意義や方法について、詳しく解説します。
商標の登録とは?
商標を登録するメリット
商標は、自社の商品やサービスを他社の商品やサービスと識別するための目印、いわばブランドの「顔」です。商標の登録によって、その商標を使用する権利を独占できます。
これによって、他社が同じか類似の商標を使用することを排除でき、自社のブランドイメージに傷がつくことを防ぐことできるのです。
特許と商標の違い
特許と商標は、両者とも知的財産の一部ですが、その保護する対象や目的は大きく異なります。
特許は、新規な技術アイディアを保護するもので、一定の期間、その技術を独占することができます。
一方、商標は、商品やサービスの出所を示すもので、消費者が特定のブランドや企業を識別する手段として役割を果たします。
特許はその保護期間が有限(出願日から20年)であるのに対し、商標は10年(又は5年)毎の更新を繰り返すことによって、無期限に保護されます。
商標登録を誰に相談・依頼するのか?
弁理士とは?
弁理士は、特許や商標の出願から登録までの手続きをサポートする知的財産のプロフェッショナル。知的財産の法律や手続きに関する専門知識を持ち、クライアントと特許庁との間に立って、スムーズな手続きをサポートします。
商標登録の専門家としての弁理士の役割
商標の登録に関しては、似たような商標が既に存在しないかの調査や、出願書類の作成、拒絶理由通知への対応など、多くの専門的な手続きが必要です。これらの複雑な手続きを円滑に進めるために、弁理士の専門的知識や経験が不可欠なのです。
弁理士への相談・依頼の方法
弁理士事務所は、それぞれの専門分野を掲げている場合が多いです。特許を得意とする事務所が比較的多いですが、商標を得意とする事務所もあります。
弁理士事務所の初回相談については、無料の場合、一定時間を超えると有料となる場合、その後の依頼に至った場合は相談料を無料とする場合など様々なパターンがあります。その事務所のホームページなどで、相談の前後の流れについて確認されるとよいでしょう。
初回相談にあたっては、検討中のネーミング案、それを用いる商品・サービスの内容、業界の固有の事情などを明確に伝えることで、より具体的なアドバイスを受けることができます。
公的機関の無料相談との違い
公的機関でも商標に関する無料相談が行われていますが、弁理士の専門的知識をもとにした詳細なアドバイスや、具体的な手続きのサポートは弁理士に依頼することがお勧めします。
公的機関の相談は初歩的な情報の提供を主としているのに対し、弁理士は個別のケースに応じた具体的な手続き等まで踏み込んだサポートが可能なのです。
商標登録の手続き
商標登録までの流れ
商標登録の手続きは、大きく分けて、商標調査、出願書類の作成、商標出願、拒絶理由通知への対応、そして最終的な登録というステップからなります。適切な手続きが必要であり、特許庁からの通知に対しては期限までの対応が求められます。
商標調査とその重要性
商標調査は、出願予定の商標と同じか類似の商標が既に登録されていないかを調査するステップです。
この調査を行うことで、商標出願して商標を登録できそうか、商標を使用して他社の商標権を侵害しないか、確認することができます。これによって、その後のトラブルや不必要な手間を省くことできます。
商標調査のポイント
商標調査のポイントとして、主に3つをご紹介いたします。
①商品・サービス
その商標を使用する商品・サービスが何かということ。予定している事業の内容や商標の使い方なども考慮しながら、特許庁の定める商品・サービスの分類(類似群コード)を特定する必要があります。
このステップで商品・サービスが漏れてしまうと、たとえ商標を登録したとしても、事業に商標を用いた際に、権利の無い範囲で商標を使っている、ということになりかねません。
②商標の特徴(識別力)
商標の特徴が何かということ。商標は他社の商品・サービスと識別する能力が求められます。この識別力が無いと特許庁の審査で拒絶されてしまいます。
例えば、商品「いちご」に、その商品の普通名称である商標「いちご」は識別力がありません。また、商品「いちご」に、その商品の品質を表す商標「美味しい」も識別力がありません。
商品の特徴をわかりやすく訴求すると商品の品質などを直接的に表示したくなるものですが、識別力が無いものとなります。しかし、間接的・暗示的に表示する程度であれば識別力が有るというのが審査の実務です。識別力の判断は微妙な場合が多くグレーゾーンの幅が大きいものです。
③商標の同一・類似
商標調査で見つけた商標が、自社が出願を予定している商標と同一か類似でないかを判断する必要があります。同一・類似である場合、特許庁の審査で拒絶されてしまいます。
この類似の判断は明らかな場合もありますが、微妙な場合の方が多いといえます。特許庁での審査実務のトレンドなどが影響することもありえます。
また、この同一・類似の既に登録されている他社の商標を調査するのは、もう一つ重要な意義があります。それは既に同一・類似の商標を他社が登録している場合、その商標の権利の範囲内で自社が商標を使用すると、権利侵害になってしまう、ということ。法的トラブルを予防する為の調査でもあるのです。
商標出願の書類作成の重要性
出願書類は、商標登録の根拠となるため、非常に重要です。書類の内容に不備があると、出願が拒絶される原因となりますので、慎重な作成と確認が必要です。
拒絶理由通知とその対応
商標出願の後、特許庁から拒絶理由通知が届くことがあります。この通知には、商標出願について拒絶の理由が示されています。これに対して意見書や補正書など適切な対応をとることができます。
この際に意見書でどのような意見を主張するか、出願書類を補正書でどのように補正するかは重要な問題。特許庁の審査官の認識をくつがえすことが必要なので、商標の専門知識・経験を有する弁理士がクライアントの意向を踏まえながら、適切な主張を行うことが必要です。
意見書や補正書を提出することで、再度の審査が行われ、拒絶の理由が解消されれば、商標は登録査定という審査官の最終判断となります。
登録料の納付
商標出願が登録査定になった場合、所定期間内に登録料を特許庁に納付すると、商標が登録されます。商標が登録されると、その権利の範囲内で独占的に商標を使用することができることになります。
登録後の管理
商標の登録後、一定の期間ごとの更新手続きが必要です。商標の更新手続きは、10年(又は5年)毎に登録料を納付することによって行います。
納付の期限までに納付しないと、せっかくの登録が抹消されてしまいますので、納付の期限管理をしっかり行う必要があります。これを弁理士に依頼することもできます。
商標登録の費用
商標登録にかかる費用の内訳
商標の登録にかかる費用は、大まかには整理すると次のようになります。商標登録までの各ステップでかかる費用があり、その内訳は、特許庁に支払う印紙代と、弁理士への依頼費用(手数料)です。
特許庁に支払う費用
特許庁に支払う費用は、商標出願料、商標の登録料です。商標の区分の数に応じて金額が異なります。最新の料金は特許庁のウェブサイトで確認することができます。
産業財産権関係料金一覧(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
弁理士への依頼費用
弁理士への依頼費用は、弁理士事務所が自由に設定できますので、事務所によって様々です。
- 調査費用:調査の商品・サービスの単位(類似群コードなど)の数に応じた金額や、実際に調査に要した時間に応じた金額としている場合が比較的多いといえます。
- 出願費用:出願書類の記載する区分の数を単位に設定している場合が多いといえます。
- 審査対応費用(拒絶理由通知の対応):その対応ごとの金額としている場合が多いといえます。
- 登録時の費用:特許庁への登録料納付の代理を依頼する場合はその費用が必要です。成功報酬を設定していることも大手事務所を中心にして比較的多いといえます。
まとめ
商標登録の重要性(再確認)
商標登録は、企業やブランドの識別性を高め、市場における信頼と独自性を確立する手段として非常に重要です。登録された商標は、法的に保護され、他者による模倣や侵害からブランドを守る役割を果たします。
注意点のまとめ
この記事を通じて、商標登録までに必要な流れや、その各ステップにおいて注意すべき点などもご紹介しました。
何れも確実に商標を登録させる為には、商標の専門の知識・経験が必要であり、そのプロフェッショナルが弁理士です。弁理士の力を上手く活用しながら、適切に手続きすることをお勧めいたします。
当事務所の無料相談ご紹介
最後に、当事務所では商標に関する疑問や悩みを抱える企業様向けに無料相談を行っております。
具体的な出願手続きから、商標戦略の策定まで、幅広く対応いたします。経験豊富な弁理士が直接相談に応じ、最適なソリューションをご提案いたしますので、安心して、ご相談ください。